青森の旅3

青森旅行 四日目。


この日も朝日を浴びて目を覚ます。快晴。

 

身支度をし、焚き火の灰の始末、部屋の掃除をして、もう一度湖の空気をよく吸い込んでキャンプ場を後にする。車を返すために弘前の町に戻る。

 

十和田湖は秋田と青森の県境にある。途中、秋田県側にある小坂七滝ワイナリーに寄る。人生でもう二度と運転をしたくないと思っている私と、運転を快く引き受けてくれている残りの二人のうちじゃんけんに勝った一人が試飲をする。このワイナリーのワインは山葡萄を使っているらしく、今まで飲んだことのないタイプのワインだった。ワインのタンニン味がなく、酸味が強い。枝や木の皮のような風味があり、そのあとに強めの酸味を感じる。これが癖になる。いくつか試飲をさせてもらい、今晩飲む用に気に入った一本を購入した。

 

ワイナリーの向かいにあった七滝という滝にも寄る。滝の近くに七滝神社という神社があり、お参りをしてから滝の麓まで近寄る。何段も重なる奥行きがよく見えるかっこいい滝だった。

 

弘前に戻り、車を返して駅で蕎麦を食べる。電車で新青森駅に向かい、そこからバスに乗って縄文時代の遺跡群のある三内丸山遺跡にたどり着いた。まずは遺跡群の再現を行なっている公園を散策する。竪穴式住居。茅葺、土、樹皮の屋根のタイプごとに再現が行われており、樹皮のものが一番カッコよく見えた。 そのあと常設展を見て回り、せっかくなのでと特別展で、縄文時代に食べていた海洋生物についての展示を見る。気がつくと2時間ほど経っていた。

 

出土しても全てがわかるわけではない。雑貨のような土器は祭礼用ではないか、という考察がされていても、子供の遺体は土器に入れて葬られていたことがわかっても、なぜなのか、ということは確実にはわからないことも多いようだ。

盛り土と呼ばれる掘った後の土や、食べ物を捨てるゴミ捨て場のようなところで、食べ物の化石だけではなく、アクセサリーや祭礼用品が出土したりしている。最初は間違って落としたのかな、と思っていたが、常設展を歩いていくと、これはゴミ捨て場という考え方自体が間違っていて、役目を終えたものたちが行く着く場所として使用していた、という考え方なのだろうと私の中では考え至った。展示から、二千年前も人間が真摯に生きていてるということを感じたのだ。わからないから、想像をする。

 

バスに乗って青森駅に向かい、ビジネスホテルにチェックインする。ロフトシングルと二人用仲良しベッドに分かれており、じゃんけんで場所を決める。仲良しベッドの外側になる。そのまま腰を下ろせばゆっくりし過ぎてしまいそうだったので、そのまま居酒屋探しに出かける。

 

ホテルの近くの居酒屋で飲む。一軒目の居酒屋は予算が合わず、ビール一杯と刺身盛りと茄子の揚げ浸しを頼んで退出する。割高だったが、お通しで出てきた貝の煮付けが美味しかった。二軒目では、タラの芽の天ぷら、鯨刺し(初めて食べた)、ホタテの卵とじのようなもの、赤海老の刺身、ホタテ焼き、など頼んでビールと日本酒を飲む。「かくれんぼ」という謎のメニューがあり、頼んでみると、マグロの山かけのことだった。

 

明日には帰ってしまう、という空気が全員の間に漂っていた。

 

ワイナリーで購入したワインに合うだろうチーズとサラミ、生ハムをドラッグストアで購入し、ホテルに帰る。ワインオープナーがなく、コンビニに一人が買いに行ってる間に、もしかしてとフロントに聞いてみると快く貸していただけた。旅行最終夜の疲れもあって、酔い始めていたので、スポーツドリンクを飲み、水分補給をしながらワインを飲む。ワイナリーで試飲ができなかった運転功労者も、選んだ味に満足してくれた。

 

ワインを空け、シャワーを浴びて眠る。知らない場所で寝る時は、怖くなってしまって眠れないのだが、仲良しベッドなのが幸いしてよく眠れた。女性二人ならお互いの気配はあっても、全くお互いを邪魔することなく寝れる広さだった。

 


青森旅行五日目。最終日。
雨が降っている。

 

朝からやっている市場ののっけ丼(チケットを買って、好きな海鮮を乗せていく海鮮丼)を食べるべく、6時に起きる。身支度をして、青森駅までバスに乗る。高校生が赤信号で両替をする。今日は祝日ではなく平日だった。

 

青森駅でコインロッカーに荷物を預け、歩いて5分くらいの市場に向かった。観光地なので市場は混んでいるかと思ったが、平日の朝なのもあって思ったよりも混んでおらず、あまり広くはないが悠々とのっけ丼を作ることができた。赤海老、ホタテ、マグロの赤身、ネギトロ、ヒラメ、子持ちヤリイカイクラを選び、そこに味噌汁をつけた。当たり前だが自分の好きな具材ばかりなので嬉しい。子持ちヤリイカを初めて食べたが、コリコリとした食感が美味しくておつまみとしてたくさん食べてみたいと思った。

 

物産館にてお土産を買って「ワラッセ」というねぶたを展示している博物館に行く。ねぶたの作り方から、実際のねぶたまで見ることができる。触ることができるねぶたもあって、表面を撫でてみた。丈夫な和紙でできているが、彩色の時に自分なら筆で破ってしまいそうだな、と思う。色々なねぶたを見た上で、鬼がたくさん乗っているねぶたが好きだった。

 

バスに乗って青森空港へ。日常に戻る気配に、明らかにメンバー全員の表情が暗くなっている。少しうとうととしていると、三十分くらいで空港に着いた。ここで、先の飛行機に乗る友人たちと保安検査場の前で二人と別れる。

 

タリーズにてホットドックとコーヒーを頼み、旅行であった出来事をスマホのメモに書き留めていく。少し早めに保安検査場を通過した。滑走路は霧に覆われていたが、問題なく飛行機は離陸した。

 

夕方、飛行機は羽田空港に無事に着陸した。