曇りの日、泥の中から

2024年3月某日

よく寝る。ここのところ、昼ごはんをすっ飛ばして寝ている。朝、意識を取り戻すけれど泥の中にいるような重たさがあってそれに抵抗することもなく二度寝をしてしまう。

 

三月になると、曇った日の綺麗な泥の中のようなところにいる心持ちになる。ぼんやりとしていて、憂鬱で、でもこれから何かがあるから目を覚まさなければいけないような感じ。そのためか、曇りの日のような、土の中のにいるような、そんな曲ばかり聴いている。Lily Chou-Chouのアルバムはそれを特に感じるのでよく聴く。

 

夕方、買い物に行くために歩きながらキリンジの「早春」を聴いた。まさにこの季節の歌だと思う。この曲は土の中にいるような気持ちになる。人の家の軒先で、ミモザが咲いているのを見かけた。

 

夜ご飯は豚肉と大根、にんじんを交互に重ねたミルフィーユ鍋を作る。ポン酢をつけて食べる。この前買ったお米が美味しかったが、同じ商品が見つからないので、別メーカーの同じ品種のものに変えた。今回より前回の方が美味しかったように思う。安定して美味しいお米が食べたい。

 

 

 

Spotifyで数年前に作った三月の曇った日というプレイリストを公開してます。

よろしければ、ぜひ聴いてみてください。

冬ミッフィーを迎えに行く

2024年3月某日

朝方、地震の揺れで目が覚める。起きたての無防備な心だったので、揺れがおさまった後も気にしないように埋めておいた不安を掘り起こすように気持ちがぐらぐらとする。不安な時は息を吸ってばかりになってしまっていけない。いけない、ので意識的に吐く息の量を多くしてみる。そうしていると、まただんだん眠気がやってきて、もう一度眠ることができた。

 

ミッフィーが好きなので、今日から始まった雑貨フェスタに行く。お目当ては限定数販売の冬仕様の洋服を着たミッフィーのマスコットキーホルダーだ。催し物会場に着いた時にはすでに整理券が900番台になっていた。近くのドトールでコーヒーを飲みながら時間を待つ。コーヒーを飲んでゆっくりしても、それでもまだ時間があったので西武デパート内をひやかした。

もう限定ミッフィーは全部なくなってしまったんやないやろか、と悲しくなりながら順番が近くなった人たちが整列する待機列に並ぶ。しばらくすると、「マスコットは入口にてお伺いしております」というスタッフの声がしてきた。入り口で1つお願いします、というと袋に入ったミッフィーを手渡される。

ふわふわの素材でできたミッフィーの顔の形をしたリュックを背負って、千鳥柄の帽子をかぶって、千鳥柄のワンピースを着たミッフィーちゃん。会いたかった。

石段を乗り越えて食べる中華

2024年2月某日

近所の中華屋に晩御飯を食べに行く。しばらく行っていなかった店だ。急な石段を登る必要があって、それが大きな壁になっていた。今日はそれを乗り越えて食べに行くことにした。

 

醤油蒸し豚の冷菜、エビチャーハン、麻婆豆腐、エビニラ饅頭を頼んだ。ビールも飲みたくて、生ビールを追加注文する。ビールを頼むとザーサイがついてくるのが嬉しい。

蒸し豚はきゅうりと互い違いに盛り付けられている。きゅうりと一緒に食べる。甘い醤油の香りをほんのり感じる。美味しい。ビールと一緒に食べる。

それから麻婆豆腐とエビチャーハンが次々に運ばれてくる。麻婆豆腐はメニューに別に四川麻婆豆腐があったが、このお店の麻婆豆腐を食べるのは初めてだったのでビビってしまって、普通の麻婆豆腐を注文した。辛くてご飯をかき込まないといけないほどの辛味はなく、おそらく山椒系で口の中に少し辛みが残る。好きな方向性の辛さだ。

エビチャーハンはこの店で好きなメニューだ。ぷりぷりの大きめのエビがチャーハンの上にたっぷりと載っている。卵もふわっとしていて、塩加減もちょうどいい。今日は麻婆豆腐があるので一緒に食べる。シェフ的にOKなのかはわからないが美味しい。

 

えびにら饅頭までたっぷりと食べ切って、温かいお茶を飲む。文学フリマで何か本を出してみたいという話を夫にする。二人とも経験がないのでふんわりとしながら、なんとかなるんじゃないの、ということにたどり着く。これまで行った旅の本か、お酒の思い出についての本を出したいと思っている。

 

お店を出ると夕暮れだった外がすっかり暗くなっていた。お腹がパンパンのまま、歩いて帰る。

体のことを思い出す

2024年2月某日

二年ぶりくらいにきちんとスポーツウェアに着替え、ランニングシューズを履いて3km弱走った。風が強くて、1kmくらいで耳が痛くなってしまう。久しぶりなので、太もももすぐに張ってきて辛くなる。思ったより走れなかったけれど、家に帰ってから疲れよりも、新しいエネルギーが湧き上がるのを感じた。走ると元気になる。

 

20代前半、とにかく走っていた。仕事終わりに、休日の朝に。だいたい1日に5~10km走っていた。そしてフルマラソンを一度走って、ハーフマラソンを一度走って、それから膝を痛めてしまってから走らなくなっていた(足指を使っていないこと、ストレッチが不十分だったためだと思う)。

 

「苦しいってこういうことだ」と走って息が上がって脚が重たくなってきた時に思う。湯船で体を温めないこと、水分を取らないこと、朝を迎えるのを拒んで眠らないこと、そういうとき、魂だけの存在になって、体のことを忘れている。この時に、走る苦しさが体のことを思い出させてくれる。苦しさをこういうことだって断定することがいいことではないけれど、体の苦しさを感じることで、精神的な部分と身体的な部分を調律しているのだと思う。

犬みたいな感想

2024年2月某日

突然の暖かさと鼻炎でぼーっとしている状態で、友だちの住む町を散策して、夢を見ているみたいな日だった。

 

友だちと遊ばないときは半年くらい遊ばないのに、遊ぶときは立て続けに予定を入れたり入ったりする気がする。

最近は花粉症なのか、水のような鼻水が止まらなくて、我慢すると目にじわりと涙が滲むので、待ち合わせの前に6個入りのポケットティッシュと鼻に噴射するタイプの薬を買った。

お手洗いに寄って思う存分鼻をかんで、薬を噴射する。

ドラッグストアを出ると、おばあさんに道を聞かれる。Googleマップで調べたけれど結局おばあさんの辿り着きたい場所が分からず、力になれそうになかったので諦めさせてもらってお別れをする。

 

友だちのおすすめのカフェでコーヒーを飲んで、一駅分を町の紹介をしてもらいながら散歩をした。美味しいケーキ屋さん、新しくできた古着屋さんを教えてもらい、お互いの家の猫の話をした。今日は、去年一緒に古着屋に行った時に買ったスカートを着ている。いくつかの家の庭で梅の花が咲いていた。「今香りがした!」って言い合う。

 

私と遊ぶときに散歩を選んでくれる友だちが多くて嬉しい。犬みたいな感想だ。

誰かの輝き

2024年2月某日

映画カラオケ行こ!で綾野剛の演技にビビッときて、綾野剛のことばかり考えてしまうようになったので、他に出演しているドラマMIU404を視聴し始めたら、3日で全話を見終えてしまった。

伊吹と志摩のバディが互いを信頼していく様子、九ちゃんがみんなに打ち解けていく様子がとても愛おしくて、今はとにかく作中の人たちと会えなくなるのがさみしい。

 

MIU404はカラオケ行こ!と同じく、脚本を野木亜希子さんが担当されている。

調べてみるとほかにも逃げ恥、犬王、アンナチュラルなど担当されていた。

そうえいば逃げ恥をみているとき、すれ違いばかりではなく想いが通じる瞬間もきちんと描かれることで、毎週もやもやが少なく幸せな気持ちになるので、脚本家の方は優しい方だなと思っていた。

映画の犬王も好きだったので、お名前を知れて、出会えてよかったなと思う。

 

2024年2月某日

10代の頃からの友達とカラオケに行って、ご飯を食べ、ワインを飲んだ。

さよならをしたあと、楽しかったなあという満ち足りた気持ちと、寂しさの両方を感じながら帰る。

友人の仕事の話を聞きながら、私もそろそろ仕事に復帰したいなと思えた。

誰かの輝きを見ていることで、自分にも輝きを灯す行動を取れるような気がする。

よくも悪くも人に影響を受けやすい。でも、いつも誰かの言葉だったり行動だったり、作品だったりが、私を元気にしてくれているのは確かだ。

名もなき料理を継ぐ

2024年2月某日

実家で「オムレツ」とよばれていた一般的なオムレツと異なる料理が食べたくなった。

 

その「オムレツ」はひき肉と玉ねぎの薄切り、にんじんのみじん切りとじゃがいもの角切りを炒めたものに、ケチャップと何かで味付けをし、薄焼きにした卵で包んだものだった。一般的な具入りのオムレツと異なる。「オムレツ 関西風」などとネットで調べてもあの「オムレツ」のレシピは出てこない。

 

「あの変なオムレツの味付け教えてーや」と母に電話をする。変なってなんやと笑いながら味付けはコンソメとケチャップであることを教えてくれた。「おばあちゃんの時は塩コショウだけやってんけど、ケチャップ勝手に入れてん」と歴史も語る。あとは実家の犬の近況なんかを聞いた。

 

早速夕食にあの「オムレツ」を作ってみる。少しだけケチャップが少なかったようだったが、あの「オムレツ」や、と思える出来で、あの「オムレツ」をこの世界で引き継ぐ者になったのだ、と思った。